
「窓を見る場所」から、
「窓が生まれる場所」まで。
ドイツ・ビーレフェルトのSchüco本社にある
Welcome Forum。
約4,650㎡の巨大な施設では、
窓・ドア・ファサードという完成製品だけではなく、
加工機、デジタル技術、
そして実際の製作工程まで見ることができます。
2024年には、その空間とブランド体験が評価され、
Red Dot Award: Brands & Communication Design
を受賞しました。
Welcome Forum
総面積
Fabrication
Showroom
加工・製作用
マシンを展示
Red Dot
Award受賞
01 — Welcome Forum
Schücoの「世界」を、
一つの建物で体験する。
Schüco International KGの本社は、
ドイツ・ノルトライン=ヴェストファーレン州の
ビーレフェルト(Bielefeld)
にあります。
そのSchüco Campusの中心に位置するビジターセンターが、
Schüco Welcome Forumです。
ここで体験できるのは、
アルミ製の窓やドア、ファサードだけではありません。
製品、サービス、デジタルソリューション、
加工設備、Schücoの歴史、
そして世界各地の建築事例まで。
Schücoが持つさまざまな技術や知識が、
一つの空間に集約されています。
中央のフォイヤーから、
Product Showroom、
Fabrication Showroom、
Newsroom、
Café、
Meeting / Workshop Areaへとつながります。
単なる「商品展示場」ではありません。
建築家、設計者、ファブリケーター、
施主、投資家などが、
Schücoというシステム全体を理解するための場所
と考えると、この施設の役割が見えてきます。

02 — Red Dot Award 2024
2024年、Red Dot Awardを受賞。
Welcome Forumは、
Red Dot Award:
Brands & Communication Design 2024
を受賞しています。
Red Dotでの分類は
Visitor Centre / Showroom。
クライアントはSchüco International KG。
デザインはD’art Design Gruppeと
one fine day, office for architectural designが担当しました。
ここで重要なのは、
単に「建物の外観やインテリアが美しいから」
という評価ではないことです。
Welcome Forumは、
Schüco本社キャンパスの中心として、
フィジカルな空間とデジタルコンテンツを組み合わせながら、
建築外皮の最新技術を体験できる場所として設計されています。
つまりSchücoというブランドを、
パネルやカタログで「説明する」のではなく、
空間そのものを通して体験してもらう。
そのブランドコミュニケーションの完成度が、
国際的なデザイン賞につながったと考えることができます。
THE IMPORTANT POINT
なぜ、2,000㎡ものスペースを
「加工」に使うのか。
Welcome Forumで、
とりわけ興味深いのが
Fabrication Showroomです。
その面積は約2,000㎡。
Welcome Forum全体4,650㎡の、
実に4割以上を占めています。
Schücoがこれだけ大きな面積を
加工設備に割いていることには理由があります。
Schücoの価値は、
「完成した窓」だけではないからです。
システム設計。
アルミプロファイル。
金物。
ソフトウェア。
切断。
CNC加工。
組立。
ファブリケーション。
それらが一つにつながって、
初めてSchücoの窓やファサードが完成します。
だからSchücoを理解するためには、
完成品だけでなく、
「どう作られるのか」を見ることが重要なのです。

約2,000㎡のスペースに加工設備を展開
03 — Fabrication Showroom
約30台の機械が、
「動いている」ショールーム。
Fabrication Showroomには、
大小およそ30台のSchüco加工機・製作設備が設置されています。
しかも、
単に機械を並べて展示しているわけではありません。
大きな特徴は、
実際に稼働している状態を見ることができる
点です。
設備はアルミサッシ製作の工程に沿って、
前加工、切断、CNC加工、
フライス・穴あけ・パンチ加工、
組立、工場設備などに分類されています。
例えば大型の連続加工センター
AS 100は、
1台だけで約160㎡もの設置スペースを必要とします。
ここまでくると、
機械のカタログを実物に置き換えただけの展示ではありません。
「自分たちの工場に、この設備を導入したら何が変わるのか。」
それを実際の製作環境に近いスケールで
確認できる場所です。

ファブリケーションそのものを展示する
04 — Automation
加工の先にあるのは、
自動化。
現在のFabrication Showroomでは、
Schücoが進める製造自動化も
間近で確認することができます。
ROBOTICS
RX LOAD 500
CNC加工機とKUKAのロボット技術を組み合わせたロボットセル。
AF 500 / AF 510への材料のロード・アンロードを自動化し、
無人運転領域を広げます。
CNC MACHINING
AF 510
SchücoのCNC加工を担うマシニングセンター。
Welcome Forumでは実機を通じ、
デジタルデータと加工工程のつながりを確認できます。
AUTOMATED ASSEMBLY
CC 800
全自動4ヘッドコーナー接合機。
自動搬入・搬出機構を備え、
約70秒ごとに1フレームを加工。
2026年6月からWelcome Forumで展示されています。
CC 800が示す「組立工程の自動化」
とりわけ注目したいのが、
Schüco CC 800です。
Schüco公式情報によれば、
2026年6月のMetallbau Fachtage以降、
BielefeldのWelcome Forumで
CC 800を見学できるようになりました。
CC 800は、
Schücoの窓・ドア・ファサード製作に使用する
全自動4ヘッドコーナー接合機です。
手作業で仮組みされたフレームを搬入すると、
四隅の加工と搬出を自動で行い、
Schücoによれば
約70秒に1フレーム
という処理速度を実現します。
切断やCNC加工だけでなく、
「組立」の領域にも自動化が広がっています。
05 — WHY IT MATTERS
「完成品」ではなく、
「完成するまで」を見せる。
一般的な窓のショールームでは、
完成した窓やドアを見ることが中心です。
デザインを見る。
窓を開ける。
ハンドルを操作する。
断熱性能や水密・気密性能について説明を受ける。
もちろん、それも重要です。
しかしWelcome Forumは、
そこからさらに一歩先へ進みます。
アルミプロファイルが入り、
切断され、
CNC加工され、
組み立てられ、
一つの窓になっていく。
その過程まで公開することで、
「Schücoの窓はなぜこういう性能・品質になるのか」を
製造工程から理解することができます。
Product ShowroomとFabrication Showroomが
一つの施設の中に存在する意味は、
ここにあります。
MOVIE — SCHÜCO WELCOME FORUM
映像で見る、Welcome Forum。
Schüco Welcome Forumの空間や展示構成は、
動画で見るとさらに分かりやすくなります。
下の画像をクリックすると、
YouTubeで映像をご覧いただけます。
06 — A NEW TYPE OF SHOWROOM
これからのショールームは、
工場とつながっていく。
Welcome Forumから読み取れるのは、
Schücoが「ショールーム」と「工場」を
完全に別のものとして考えていないことです。
完成品を見る場所と、
その製品を作る場所がつながっている。
そのため来場者は、
製品のデザインだけでなく、
その背景にある加工精度、設備、
デジタル技術、
ファブリケーションの考え方まで理解できます。
これは、
日本でSchücoの窓・ドア・ファサードを考える上でも、
非常に参考になる考え方です。
「どんな窓なのか」だけではなく、
「誰が、どの設備で、どのように作るのか」まで見える。
高性能な建築部材になればなるほど、
その価値を理解するためには、
完成品だけではなく、
その背景にある技術を見ることが重要になります。
Schüco Welcome Forumは、
製品、デジタル、加工、製作、建築を一つにつないだ、
新しいタイプの建材ショールームの
一つの完成形と言えるでしょう。

