ドイツのSchücoショールームは
「製品を見る場所」だけではない
フランクフルト中心部、NextowerにあるSchüco Showroom Frankfurt。
その役割を詳しく見ていくと、単なる窓・ドア・ファサードの展示場ではなく、
建築家、設計者、ファブリケーターが集まり、設計・製造・施工・デジタル技術、
そして既存建物のValue Upまで考える「建築のプラットフォーム」であることが分かります。
フランクフルト中心部にある、772㎡のSchücoショールーム
Schüco Showroom Frankfurtは、ドイツ・フランクフルトの
PalaisQuartierに建つ「Nextower」内にあります。
Schüco公式によれば、ショールームの床面積は約772㎡。
実物大の展示を多数設置し、
「Work」「Life」「Home」というテーマ別のスタジオで構成されています。
展示されているのは、単純な窓サンプルだけではありません。
Schüco Panorama Designのスライディングシステム
AS PD 75.HIや、
テキスタイルファサードFACIDなど、
建物外皮そのものを構成するシステムを実物で体感できるようになっています。
Schüco Showroom Frankfurt
/画像出典:Schüco International KG
さらに「Digital Lab」も設置されています。
つまり、実物の窓やファサードを見るだけではなく、
Schücoが建築プロジェクトで展開しているデジタルソリューションまで、
一つの場所で体験できる構成です。
製品ではなく「建築プロセス」を見せる
Schüco公式サイトには、Frankfurt Showroomについて興味深い説明があります。
インタラクティブに構成されたショールームでは、
Schücoの幅広い製品群について、
計画・製作・施工を効率化する可能性を体験できる、としています。
「その窓を、どう設計し、どう製作し、どう建築へ組み込むか」まで見せる。
ここが、日本で一般的にイメージされる住宅設備ショールームとの
大きな違いの一つではないでしょうか。
建築・ファサードをどのように計画し、
システムへ落とし込むのか。
設計・製作・施工を支える
デジタルツールとの連携。
設計されたシステムを、
ファブリケーターがどのように製作するのか。
完成した製品を建築へ組み込み、
本来の性能を発揮させる施工技術。
ショールームで「AI」や「Value Up」も語られる
さらに面白いのが、このショールームで開催されているイベントです。
Schüco公式ページでは、過去のイベントとして
「Schüco Value Up」、
AIをテーマとした「KI Praxistag」、
施工・取付を扱う
「Know-how × Network – Montageleitfaden」
などの様子が紹介されています。
Schüco Showroom Frankfurtでのイベント
/画像出典:Schüco International KG
つまり、ショールームで扱われるテーマは、
新商品の紹介だけではありません。
既存建物をどのように再生するのか。
AIやデジタル技術を建築実務へどう利用するのか。
優れたシステムを、どう正しく製作・施工するのか。
Schücoという企業を理解するには、
「高性能な窓を作るメーカー」という見方だけでは十分ではありません。
建築家、設計者、ファブリケーター、施工者をつなぎ、
建物外皮を設計から施工、その後の維持・再生まで支える
システム企業として見ると、
Frankfurt Showroomの役割がよく分かります。
新築だけではない。既存建築を「Value Up」する
現在のドイツ建築を考えるうえで重要なのが、
既存建物のリノベーション、コンバージョン、エネルギー改修です。
ドイツでは古い建物だからといって、
すぐに解体して新築するとは限りません。
使用可能な構造躯体を残しながら、
窓・ドア
ファサード
断熱
設備
エネルギー性能
用途そのもの
を現代の要求水準へ引き上げ、
建物の寿命と資産価値を延ばすという考え方です。
Frankfurt Showroomでも、
窓・ファサード・スライディングシステムに加え、
既存建物の省エネルギー改修に対応するソリューションが
展示されています。
Schüco Showroom Frankfurt
/画像出典:Schüco International KG
「古い建物を直す」のではありません。
建物の性能と価値を現代へ引き上げる。
これが、Schücoが現在発信している
「Value Up」という考え方にもつながっています。
同じ週、ウィーンでも「建築外皮」の最新技術が集まる
このような動きはSchücoだけに限りません。
2026年9月16日・17日には、
オーストリア・ウィーンのWiener Stadthalleで、
建築家・設計者向けイベント
「Architect@Work Vienna 2026」
が開催されています。
金属屋根・ファサードシステムを展開するBEMOも参加し、
サステナブルな金属製建築外皮をテーマに、
最新のファサードソリューションを紹介しています。
Architect@Workの特徴の一つは、
展示されるイノベーションが事前に建築家・インテリアアーキテクト等による
審査を受けることです。
メーカーが一方的に商品を並べる巨大展示会というより、
建築家・設計者が最新の素材や技術を発見する場
として運営されています。
そして9月18日は、Frankfurtで「船上の建築展示会」
さらに9月15日から18日にかけて、
Düsseldorf、Köln、Frankfurtを巡る
Archipoint Rivercruise 2026も開催されています。
会場は展示ホールではありません。
BLUE RHAPSODYという船そのものが建築展示会場になります。
BEMOによれば約70社が参加し、
建築家、インテリアアーキテクト、エンジニア、
デベロッパーなどが船上で新しい建築技術について交流します。
Frankfurtでの開催は
2026年9月18日です。
こうしたイベントを見ると、
欧州の建築業界では「製品を売る」こと以上に、
建築家・技術者が集まり、実物を見て、専門家と話し、
新しい建築を考える場所をつくることが
非常に重視されていることが分かります。
日本のSchücoファブリケーターとして
株式会社相川スリーエフは、
日本におけるSchücoファブリケーターとして、
Schücoの窓・ドア・スライディングシステム・ファサードを
日本の建築へ届ける取り組みを進めています。
私たちがSchücoから学ぶべきものは、
製品そのものの性能だけではないと考えています。
PRODUCT ― 製品
DESIGN ― 設計
DIGITAL ― デジタル
FABRICATION ― 製造
INSTALLATION ― 施工
VALUE UP ― 建物価値の再生
これらを別々に考えるのではなく、
一つの建築プロセスとしてつなげていく。
そこに、Schücoという企業の大きな特徴があります。
柏テクニカルセンターが目指すもの
株式会社相川スリーエフは2026年、
千葉県柏市に新たな製造・技術拠点
「柏テクニカルセンター」を開設します。
私たちが目指しているのは、
完成したSchüco製品を並べるだけのショールームではありません。
設計された窓やファサードが、
どのようにデータ化され、
どのような機械で加工され、
どのように組み立てられ、
建築の一部になっていくのか。
その背景にある技術まで感じていただける場所を目指しています。
ドイツや欧州の小さな建築ニュースを追っていると、
そこには時々、日本のこれからの建築を考えるための
大きなヒントがあります。
今後も相川スリーエフでは、
Schüco本国・ドイツ各地、そして欧州の建築・ファサードに関する動きを
継続的にご紹介していきます。
Sources / Related Links
Schüco Showroom Frankfurt
https://www.schueco.com/de/unternehmen/showrooms/frankfurt
BEMO – Architect@Work Vienna 2026
https://bemo.com/de/news/architectwork-wien-2026/
BEMO – Archipoint Rivercruise 2026
https://bemo.com/de/news/bemo-auf-der-archipoint-rivercruise-2026/
※Schüco関連画像はSchüco International KG公式Webサイト掲載画像を参照しています。

