大開口をつくるということ。
Schücoと日本の構造設計
世界の住宅、ホテル、ヴィラ、オフィス、商業施設で採用されてきたSchüco。
その魅力のひとつが、高い断熱性能と、美しい大開口です。
しかし、日本でSchücoを採用するうえで、本当に重要なのは
「どの窓を選ぶか」だけではありません。
大きな開口を、建物そのものでどのように成立させるか。
私たちは、そこから考える必要があると考えています。
窓だけを大きくすることはできない
たとえば幅5m、6m、あるいはそれ以上の大開口を住宅につくりたいとします。
Schücoにその寸法を実現できるシステムがあったとしても、
それだけで大開口建築が成立するわけではありません。
開口の上部には屋根や床があり、2階や3階が載る場合もあります。
そこには鉛直荷重がかかります。
さらに日本では、地震による水平力、台風による風圧力、
建物そのものの変形についても検討しなければなりません。
「Schücoで大開口をつくること」と、
「その大開口を成立させる構造をつくること」は、
本来ひとつの設計行為です。
木造で大開口を成立させる
一般的な木造住宅では、耐力壁によって地震や風による水平力に抵抗します。
しかし、大きな窓を設ければ、その部分には当然ながら耐力壁を配置できません。
そこで重要になるのが、建物全体の構造計画です。
大断面の集成材による梁、門型フレーム、トラス、
CLT、あるいは木造と鉄骨を組み合わせたハイブリッド構造など、
建築条件に応じてさまざまな方法が考えられます。

開口を前提とした構造計画が重要になります。
重要なのは、
「窓を入れるために後から壁をなくす」という考え方ではありません。
最初から「大開口のある建築」として、
荷重の流れ、耐力壁の配置、梁のスパン、接合部まで含めて設計する。
特に日本では地震時の変形まで考える必要があります。
大開口を美しく見せるためには、構造体がどの程度変形するのか、
その変形をサッシやガラスにどのように伝えないようにするのかという視点まで必要になります。
RC造なら、自由に大開口をつくれるのか
RC、鉄筋コンクリート造だからといって、
自由に大きな開口をつくれるわけではありません。
柱と梁によって建物を支えるラーメン構造は、
比較的大きな開口との相性に優れています。
柱・梁で構造を成立させ、その間を大きな開口とすることができるためです。
一方、壁そのものが構造体となる壁式RCでは、
開口を大きくすれば耐力壁としての性能にも影響します。

柱・梁による架構によって大きな開口を成立させます。
壁式RCで大きな開口を計画する場合には、
開口上部の壁体を梁として機能させる壁梁、
左右の壁を結ぶ連結梁、
開口周囲の補強などを検討し、
建物全体として力がどのように流れるのかを考えます。
条件によっては、その部分をラーメン的な架構として構成することも考えられます。
先に「ここへ大きな窓を入れる」のではなく、
「ここに大開口をつくるには、どのような構造が必要なのか」を考える。
これが大開口建築の本来の順序です。
日本の耐震設計は、世界の中でも特徴的である
日本は世界有数の地震国です。
そのため、日本の建築では地震による水平力を前提として構造を考えることが常識になっています。
米国、欧州、ニュージーランド、台湾、チリなどにも高度な耐震基準があります。
地震動の設定、必要耐力、靱性、変形能力、安全率などの考え方は国によって異なるため、
「日本が世界で最も厳しい」と単純な順位で表現することはできません。
しかし、日本が世界でも非常に厳しい地震環境を前提として
建築を設計している国のひとつであることは間違いありません。
日本では、比較的頻繁に発生する地震に対して建物の損傷を抑えること、
そして極めて稀に発生する大地震に対して建物を倒壊・崩壊させないことを
基本的な考え方として耐震設計が行われています。
実は、ここにSchücoと日本建築の相性がある
日本でSchücoを使うということは、
単に海外製の高性能サッシを取り付けることではありません。
私たちはむしろ、
日本が培ってきた高度な構造設計と、
欧州で発展してきた高性能な開口部技術を組み合わせること
だと考えています。
地震に対して耐力、剛性、靱性、変形、接合部、
そして荷重伝達まで考えてつくられる日本の建築。
そこまで考えてつくる建築だからこそ、
開口部にも同じ時間軸と同じ性能思想が求められるのではないでしょうか。
大開口では「強さ」だけでなく、「変形」を考える
建物が地震に耐えられることと、
取り付けられたサッシやガラスが健全であることは、
必ずしも同じではありません。
構造体は大地震時に一定の変形を許容することによって、
地震エネルギーを吸収する場合があります。
しかし、大きなガラスやアルミフレームは、
構造体と同じ変形をそのまま受ければよいわけではありません。
層間変形、梁のたわみ、スラブの変形、
躯体とサッシのクリアランス、
アンカー、ファスナー、シーリング、ガラス。
大開口になればなるほど、
これらを別々の部品としてではなく、
建物全体のひとつのシステムとして考える必要があります。
Schüco Fabricatorであるだけではない
株式会社相川スリーエフは、
SchücoのFabricatorとして、
Schücoシステムの製作・施工を行います。
しかし、私たちにはもうひとつの側面があります。
木造建築、RC建築の双方を手掛ける総合建設会社であり、
一級建築士事務所、そして特定建設業の許可を持つ会社でもあります。
そのため私たちは、
「この開口にどのSchüco製品を入れるか」
からだけで考える必要がありません。
「この大開口を成立させるために、
建物そのものをどうつくるべきか」
という一つ前の段階から考えることができます。
木造なら、どこに耐力壁を配置するのか。
どのような梁を使うのか。
集成材なのか、CLTなのか、トラスなのか。
あるいは鉄骨を組み合わせるのか。
RCなら、ラーメン構造なのか、壁式なのか。
大開口周辺の応力をどこへ流すのか。
梁や壁をどのように構成するのか。
そして最後に、その躯体とSchücoをどのようにつなぐのか。
そこまでを、ひとつの建築として考えます。
「窓を選ぶ」のではなく、「建築をつくる」
Schücoの価値は、U値、耐風圧性能、水密性能、気密性能、
ガラス寸法、障子重量、見付寸法などの数字によって説明することができます。
しかし、それだけでSchücoの価値を語ったことにはなりません。
大開口とは、単なる大きな窓ではないからです。
構造、外皮、断熱、ガラス、ファサード、施工。
それらを統合して初めて、大開口建築は成立します。
世界で発展してきたSchücoの技術。
そして、地震大国として発展してきた日本の構造設計技術。
この二つを組み合わせることに、
日本におけるSchüco建築の大きな可能性があると、
私たちは考えています。
長く残す建築だからこそ、Schücoを。
これからの日本では、
建物を大量につくり、短期間で壊すという時代から、
性能の高い建物をつくり、長く使い続けるという考え方が、
さらに重要になっていくはずです。
地震に耐える強い構造体。
長く使える躯体。
高い断熱性能。
そして、その建築と同じ思想で設計された窓とファサード。
長く残す価値のある建築に、
長く使うことを前提とした開口部をつくる。
それが、私たちが日本でSchücoに取り組む理由のひとつです。
大開口から、建築を考える。
Schücoの採用をご検討の建築家・設計事務所・デベロッパー・建築主の皆様へ。
製品選定だけでなく、躯体、大開口、納まり、施工まで含めてご相談ください。

